ノーベル賞の資産運用。長年続くのには訳がある。

ノーベル賞の資産運用

1901年に創設されたノーベル賞。そのうち物理学賞、化学賞、生理学・医学賞、文学賞、平和賞の受賞者への賞金はノーベル財団の資産運用益から捻出されていることを前回説明させていただきました。今回はノーベル財団の資産運用についてお話したいと思います。

 

ノーベル賞はダイナマイトを発明し多くの富を得たアルフレッド・ノーベルの「自分の遺産で基金を作り、その利子を人類のために最大たる貢献をした人々に分配するように」との遺言に基づいて創設された賞で、ノーベル財団というのは、アルフレッド・ノーベルの遺産を管理している財団です。財団のレポートによると、2019年においてノーベル財団の資産は約46億スウェーデン・クローナ(約530億円)、賞金等を含めた費用は年々増え、年間で約1,1億スウェーデン・クローナ(約13億円)と言われています。どのような運用で120年ノーベル賞を継続させているのでしょうか?

ざっと、総資産の2.5%程度を支出していることになります。

 

ノーベル財団設立当初は、ノーベルの遺言に「安全な有価証券に投資し」との文言があったため、比較的リスクの少ない債券での運用が中心だったようです。ですがこの運用では運用益が少なく、ノーベル賞の賞金も減少してしまいました。1950年からは「安全な有価証券」という言葉の再定義が行われ、幅広い資産への投資が可能となり、1991年には設立当初の賞金レベルを回復しています。財団のレポートによると、リーマンショックがあった2008年から2019年までの平均リターンは年6%です

現在のノーベル財団はインフレ調整後で年率3.5%以上といった目標を定めて適切にリスクを取って運用しております。

FIREの4%ルールに似ています。ここで注目すべきは リターン額>支出 となっているため、運用残高そのものも増えていることです。

 

2019年末時点の運用ポートフォリオ

  • 国内株式(スウェーデン)・・・10%
  • 外国株式・・・37%
  • 国内債券(スウェーデン)・・・6%
  • 外国債券・・・7%
  • 不動産ファンド・・・9%
  • ヘッジファンド・・・31%

スウェーデンの政策金利は2021年9月現在0%ですので、投資環境としては、銀行に資金を預けても増えていかない低金利の日本と状況は似ていると思います。ノーベル財団ほどの歴史や権威のある財団が、国内・海外合わせて株へ47%も投資をしているというのは驚く方も多いかもしれません。

外国(スウェーデン以外)での運用が多いですが、ノーベル賞自体が全世界を対象としていること、スウェーデンの人口(1035万人)と、世界人口(77億人)をかんがえると適切と思います。

信用できる内容なら、国外への投資も良いです。

不動産についても、長期間安全に運用すれば利益が出やすいです。

 

ヘッジファンドとは、様々な分野に分散的に投資することによって、株式などの相場が下落したとしても最終的な損失を減らそうという意図があると思います。(AIを駆使した運用をしているようです)。

 

1901年から120年続くノーベル賞を支えている資産運用、皆さんも参考にしてみてはいかがでしょうか。

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